カレー日記(SOI7)

中目黒「SOI7」クワクリン

ゲーンパー、ジャスミンライス

ゲーンキャオワン、ジャスミンライス
タイ料理店はどこもだいたい美味しくて、ハズレが少ない代わりに、最高に美味しいという大当たりも少ないように感じています。
日本で食べてもそうですし、タイで食べ歩いても同様の感想を持ちました。
日本だと日本人によるタイ風料理店なども時折あるので、それが無いタイの方がハズレ率は少ないものの、大当たり率の少なさは同様で。
日本の中でも本当に美味しいタイ料理店だと僕が思うのは数える程なのですが、こちらもそのひとつに加わりました。
中目黒のSOI7です。
ソイナナというとタイ料理のチェーン店を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、それとは別。
こちらは独立店舗のSOI7であり、既に15年以上にわたってお店を構えているということで、ソイナナよりも古いのです。
タイ料理のプロと一緒に行ってきました。
何しろ裏メニューにクワクリンがあるというのです。
クワクリンとはタイ南部の料理で、わかりやすくいえば激辛ドライカレーのこと。
ターメリックなどのスパイスも使用することから、通常のタイカレーよりもさらにカレー的なのです。
ご飯と一緒に食べるのも最高ですが、おつまみスタイルで出てきました。
しっかり辛くてしっかり美味しい。
そしてカフィアライムリーフの香りの素晴らしいこと。
ここ、ハーブのクオリティが総じて高いんです。
続いてレギュラーメニューからゲーンパー。
こちらもタイの田舎風激辛スープカレーと言われることも少なくないもので、ココナッツミルクを使用していないゲーンです。
ゲーンパーの独特の風味を出す材料のひとつにクラチャイがあります。
これはタイの生姜の仲間であり、カーともまた違った風味があるのですが、これがとにかく立っているんです。
クラチャイの風味とほろ苦さ、ゲーンの辛さとほのかな甘味。このバランスが実に良い。
僕が今まで食べたゲーンパーの中でこれが一番美味しいかもしれないというクオリティです。
激辛タイカレーを2つ食べ、どちらもレベルの違いを感じたからには基本メニューのグリーンカレーの味も試してみなくてはいけません。
グリーンカレーを食べてみてまたびっくり。
一味違うというより、ふた味くらい違うんです。
そしてだからこその美味しさ。
ホーラパーなどのハーブのフレッシュな香りも美味しさに一役買っているのですが、それ以上にスパイス感が独特。
ターメリックを使ったり、コリアンダーシードを使ったりしているという、タイのゲーンキョウワンとしてはかなりの個性派。
よりインド的と言いますか、インド的隠し味を使ったタイカレーと言いますか、とにかくここにしかないグリーンカレーです。
何とも素晴らしい!
お話聞いてみるとこちらのシェフは某有名店からお誘いが何度も来ているものの、マイペースに仕事をしたいからとこちらのお店にい続けているんだそうで。
もちろんこちらのオーナーがシェフの腕に惚れ込んでいるので手放さない為にもしっかりとギャランティを払っているからということもあるのでしょうが、それくらいの素晴らしいシェフです。
名前をうかがってみるとオンさんとおっしゃるそうで。
隠れた名シェフであり、隠れた名店だと言えるでしょう。
よくあるタイ料理でもなければよく見かけるソイナナでもありません。
オンリーワンのタイ料理、オンリーワンのSOI7。
タイ料理好きならわざわざ行く価値のあるお店です。
評価:★★★★