大阪カレー日記

紋甲イカのサデコ

鰻のマサラ

松茸のすりながし

鱧のパコラ

黒豚蒸しビーツのカレーソース

阿波尾鶏のカンチャランカ チキンコシャのビリヤニ
大阪でミシュランビブグルマンを獲得した名店「虹の仏」のリョウヤさんが、自分の作りたいものをもっと自由に楽しく作れる場所をということで新たに構えたお店がこちらです。
モダンスパイスということで、モダンインディアン的な料理がコースでいただけます。
リョウヤさんの料理は虹の仏でも他のお店とのコラボの際にも味わっていますが、何を食べてもとんでもなく美味しいんです。
カレーはもちろん、カレーじゃないものも全てが最高で。
そんなリョウヤさんの手掛けるコースですから、完全におまかせで予約してうかがいました。
カウンターメインでありながら余白スペースもあって広々と感じる空間。
おしゃれなキッチンスタジオのようでありながらもところどころに「虹の仏」感もある和風なディティールが個性的で良いです。
最初に「今日の食材です」と、調理する前のものを見せてくれました。
材料名を産地と共に教えてくれて、これがどうなっていくのか期待感を煽りまくります。
以下、出てきた順にまとめます。
・紋甲イカのサデコ。
サデコとはネパール料理でシンプルな和え物でありつまみでありサラダのようなものですが、炙った紋甲イカが加わることによって素晴らしいスターターとなりました。
・鰻のマサラ
二品目でいきなりノックアウト!
鰻は生の状態から絶妙な火加減でプリップリな食感。
塩気をイクラで演出するあたりとんでもないです。
僕はイクラがそれほど好きではないんです。美味しいなと思って食べたことがありません。
しかしこのイクラは本当に美味しい。
生まれてはじめてイクラを美味しいと感じました。
それくらいとんでもないです。
鰻は元々好きですし、マサラ、つまりカレーも当然好きなのですが、そこに好きではないものが入ってきても好きと思わせてしまうのがリョウヤさんの凄味。
元々日本料理のシェフだということもあり、和の素材の扱い方はレベルが違うわけです。
・松茸のすりながし
出ました松茸!
しかもすりながしということでスパイス仕立て。バターの風味も加わって、イノベーティブフュージョンですし、モダンインディアンだからこその料理。素晴らしいです。
・鱧のパコラ
そんでもって鱧ですよ。
包丁の入れ方も完璧な鱧をパコラというインド料理における天ぷらのようなものに。
揚げ具合も絶妙。
そして下に敷かれたソースがとうもろこしのソースであり、これがまた最高!
・黒豚蒸し ビーツのカレーソース
鹿児島の黒豚を蒸し、ビーツのカレーをソース仕立てにしたものや、墨の塩と共に食べる料理なのですがこれがまた凄い!
ビーツをカレーにするのはスリランカではよくあること。スリランカ料理も得意なリョウヤさんならでは。
しかしこのビーツはあくまでソース。墨の塩もあるので引き算の味付けであり、色味と風味がこの皿に乗った他の材料に足りない部分を見事に補完していました。
芸術的です。
・阿波尾鶏のカンチャランカ チキンコシャのビリヤニ
最後はカレーとビリヤニで〆。
ベンガル料理を持ってくるあたりにその引き出しの多さ、広さ、深さを感じました。
ベンガル料理ベースではあるのですが阿波踊りの手羽先を使うのが日本的。
ししとうと青唐辛子とほうれん草で作る緑のカレーに、ビリヤニは鶏の旨味が凝縮されたもの。
塩気がどちらも控えめで、とは言いながらも単品で食べれば素材の味が活き、合わせて食べれば程良い塩梅に落ち着くという計算。
全てが美味しくて、しかもこれだけの食材を使っていてお値段は飲み物含めても6000円程度。
凄い。
とにかく凄い。
この世界は他では味わえません。
リョウヤさんが普段虹の仏で作り出している様々な料理を知った上でこちらに行くと、その凄さや美味しさをさらに深く理解できるのではないかと思います。
高級フレンチのようなかっちりしたコースではありません。
しかしだからこそ、リョウヤさんの自然体の楽しさが間近に感じられるお店です。
また行ってリョウヤワールドを体感せねば!
評価:★★★★★